98e レーサー
インホイールモーターを後輪にそれぞれ一つづつ備える、100馬力のEVレーサー。 ベースにFJ1600のフレームを使い、バッテリーフレームを増設、インホイール モーター用にリアサスペンションアームを作り直した。 インホイールモーターを、もっとも過酷な環境・レースで、その性能を実証する。
このクルマの性格は、やはりインホイールモーターによって決定付けられている 面が大きく、ルシオールと同じ印象を受けるが、走り出せばそこはやはり地上の 戦闘機、速く走るための作られたクルマであることは、すぐに認識される。 ただエンジンのレーサーと違い、非常にイージーな操縦感覚で、 単に走らせるのにドライバーに特別な技量を要求しないのである。
ただし、ドライバーの体格のマッチング(つまり人間の乗るところが小さい)、 また体に柔軟性がないと乗り込めないということも付け加えておこう。
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正面斜めから フォーミュラーカータイプのレーシングカーは、一般の市販車と比べて、 構造が非常に簡単である。というのも、走るため以外の装備が何も 必要ないからである。 インホイールモーターとなると、さらにその構造は単純化される。 |
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後ろ斜めから レーサーの車高は非常に低い。 ドライバーの頭にあるロールケージだけが 高く突き出ていて、それだけが異様に高い。 |
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横から
昨年はFRPのカウリング製作までは至らなかったのでスケルトンの状態である。 フロントとリアのホイールの違いに気づくだろうが、フロントはFJ1600用の13インチ。 リアは、インホイールユニットのハブPCDが130と四駆並みに大きいので、 クロカン用15インチ、ホイールディスクに4穴を開けてもらったスペシャル品である。 |
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これがインホイールドライブユニットとリアサスペンションアーム。
DCブラシレスモーターの出力を遊星歯車で減速して駆動する。 また、アルミのドラムブレーキもユニットに内臓している。 「今時なぜドラム?」と、普通思うものだが、ディスクブレーキ と違い、常にディスクにパッドを接触させる必要がなく引き摺りがない分 効率的である。 もちろん、熱やブレーキフィーリングといった問題というのはあるが、それ以外 ではブレーキとしてドラムの方が優れた機構であることは間違えない。 |
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片側に10個155kgのバッテリーを搭載する。
といっても、相変わらずの開放型鉛酸電池である。 電気自動車の性能は電池の性能にかかっていると言われて久しい。 EVに関わる各社は、最近ではニッケル水素やリチウムイオンなど 新しいバッテリーも使用しているが、今のところ我々は鉛酸。 まぁ、使いやすさでは鉛がもっとも優れているといえばその通りなのだが、 別の電池が仕入れられるものなら使ってみたいものだ... |
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インホイールモーター用のインバーターユニット。
ルシオールのコントローラとは違って、専用品ではあるけれど、中身はかなり 汎用なインバーター。水冷になっているので、ぐっと小型化されている。 ルシオールのそれとは違ってビークルコントローラといった上位制御回路がなく、 、基本的にモーターのトルク司令値のみ受け付けてくれるので、 逆にこういうクルマでは使いやすい。 中身はちゃんとSHのRISCマイコン制御で、ルシオールの8ビットマイコンより高級だが、 仕事が少ない分勿体無い印象も受ける。 |
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インバーターが水冷なので、ラジエータが必要になる。
オイルクーラーを流用した。
できればモーター同様に空冷で済めばよいのだろうが、水冷にすると補機は増えるが 本体は小さくできる。 レースだけを考えればモーターを含めて水冷の方が有利になるだろう。 しかし、「できるだけ無駄をなくして効率的なクルマ」を目指すのだと発生する熱は 空冷で済む程度に抑える努力の方を優先したい。 |
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コックピット
メーターは電流計のみ。 あとは、インバーターのインジケーター用のLEDである。 電流計は電池からの電流を測っているので、瞬間消費電力計といった方が 正しい。(厳密には電圧が必要だが) モーター出力を得るなら、インバーターの出力電流を取りたいところだが、 それを考えると意味深い。 つまり、EVにとって本当にモーターの出力を見ることに意味があるのか? それとも、どれだけエネルギーを使ったのかを見ることの方に意味があるんじゃ ないか? |
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スペシャル品のリアホイール。 四駆用のディスクなので重量は重いが、慣れてくると見た目も そう悪くない(と、思っている)。 ディスクの真ん中に開いた、インホイールユニットのバカ穴が大きいのが格好悪い、 ついでに錆びてるというのが難点だけど、要はタイヤがつけばいいって話だからね。 ついでに、リアのタイヤサイズは195/55R15で自分のクルマと同一サイズ。 一度スリックを履かせて乗ってみたいものだが、これで公道を走っては いけません。 |
ベース車両 | 車両名 | 東京R&D F4/92(FJ1600) |
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年式 | 92年式 | |
主要寸法 | 全長 | mm |
全幅 | mm | |
全高 | mm | |
重量 | 乗車定員 | 1名 |
車両重量(カウルなし空車) | 650kg(うち電池重量310kg) | |
性能 | 最高速度 | ? km/h(実測値)
? km/h(計算値) |
加速性能(0-400m) | ? sec.(実測値)
? sec.(計算値) | |
モーター・インバーター | モーター種類 | ブラシレスDCモーター |
最大トルク | 77 x 2 N・m | |
最大出力(3分定格) | 36 x 2 kw(98 PS) | |
最高回転数 | 8000rpm | |
制御方式 | PWMインバータ(水冷式) | |
制御素子 | IGBT | |
電池 | 種類 | 開放式鉛畜電池 |
容量、電圧 | 52Ah、12V(5時間) | |
総容量/電圧 | 12.5kWh / 240V | |
重量 | 310kg | |
HTML by Shiro Matsugara